年末調整の時期になると、NISAで積立や株式投資をしている人ほど『これって会社に書くのかな』と不安になりやすいものです。結論からいえば、NISAは原則として年末調整の記載対象ではありません。この記事では、書かなくてよい理由、勘違いしやすいポイント、例外的に注意したいケースまで、実務ベースでわかりやすく整理します。
【結論】NISAは年末調整に書く必要なし

結論として、NISAを利用しているだけなら年末調整の書類に書く必要はありません。
会社へ申告する控除や所得に当たらず、勤務先へNISAの利用状況を届け出る手続きも基本的にありません。
迷う人が多いのは、iDeCoや住宅ローン控除など、年末調整で実際に申告する制度と混同しやすいからです。
まずはNISAは年末調整の対象外と覚えておけば、書類作成で無駄に悩まずに済みます。出典:SOICO
画像出典:つみたてNISAは確定申告が必要?不要なケースと手順を解説
NISAの利益は非課税なので申告不要
NISAが年末調整で不要な最大の理由は、口座内で得た売却益や配当金が非課税だからです。
年末調整は、給与所得者が各種控除を勤務先で精算する仕組みです。
一方のNISAは、所得控除を受ける制度ではなく、投資で得た利益に税金がかからない制度です。
そのため、年末調整の申告書にNISAの残高や利益を書く欄も、添付すべき証明書もありません。出典:SOICO
新NISAでも年末調整の扱いは変わらない
2026年時点でも、新NISAだから年末調整が必要になるという変更はありません。
つみたて投資枠でも成長投資枠でも、非課税である点は同じなので、会社へ提出する年末調整書類への記載は不要です。
実際に、つみたてNISAや新NISAの利益は所得として扱われず、勤務先への申告も不要と整理されています。
また、2026年度の税制改正資料でも、新NISAに年末調整の新手続きが追加された事実は確認できません。出典:SOICO、金融庁
なぜ『NISAは年末調整に書く』と勘違いしやすいのか
NISAは不要なのに迷う人が多いのは、投資制度ごとに税金の優遇のかかり方が違うからです。
とくに、iDeCo、特定口座、確定申告という言葉が一緒に出てくると、何を会社へ出すのか見分けにくくなります。
ここを整理すると、自分が本当にやるべき手続きがすぐに分かります。
iDeCo(イデコ)との混同が原因
もっとも多い勘違いは、NISAとiDeCoを同じ投資制度だと考えてしまうことです。
NISAは利益が非課税になる制度ですが、iDeCoは掛金が所得控除になる制度です。
つまり、iDeCoは年末調整や確定申告で控除手続きが必要になる一方、NISAはそもそも申告して税金を減らす仕組みではありません。
資産形成の制度として並べて紹介されることが多いため、実務上の違いが見えにくい点が誤解の原因です。出典:ジチタイワークス
『投資したら確定申告が必要』という誤解
投資を始めると、何でも確定申告が必要だと思ってしまう人は少なくありません。
たしかに、一般口座や特定口座の設定次第では確定申告が必要になることがあります。
しかし、NISA口座の利益は非課税なので、原則として確定申告の対象外です。
投資全体で一括りにせず、どの口座で何を運用しているかで申告要否を判断することが大切です。出典:SOICO
特定口座とNISA口座の違いによる混乱
口座の種類が複数あることも、混乱しやすい理由です。
特定口座には源泉徴収ありとなしがあり、なしを選ぶと自分で確定申告を検討する場面があります。
一方でNISA口座の売却益は非課税で年末調整の対象ではありませんが、上場株式の配当等が非課税となるのは、非課税口座を開設している金融商品取引業者等を経由して交付されるもの(株式数比例配分方式)に限られます。
同じ証券口座でも税務上の扱いがまったく違うため、口座名を確認するだけで判断ミスを大きく減らせます。出典:SOICO
年末調整でNISAでも注意が必要なケース

NISAそのものは年末調整不要ですが、周辺条件によっては税金面で確認したい例外があります。
ここでの注意点は、会社へ書くかどうかではなく、配当や損失の扱いで損をしないかという視点です。
見落としやすい3つのポイントを確認しておきましょう。
配当金の受取方法による課税リスク
NISAで配当金を非課税にしたいなら、受取方式の設定が重要です。
株式数比例配分方式で受け取ると、NISA口座内の配当金が非課税で処理されやすくなります。
一方で、別の受取方式では配当金に20.315%の税金がかかる場合があり、NISAの非課税メリットを十分に活かせません。
株式数比例配分方式なら非課税扱いになりやすい銀行口座受取などでは課税されることがある設定確認は証券会社の配当受取方法画面で行う
年末調整で修正する話ではないため、書類提出前ではなく証券口座の設定画面で確認するのが正解です。出典:SOICO
損益通算はNISA口座では使えない
NISAで損失が出ても、税金を取り戻す手続きは基本的にできません。
課税口座なら、利益と損失を相殺する損益通算や、損失を最長3年繰り越す仕組みがあります。
しかしNISA口座では、利益が非課税である代わりに、損失も税務上はなかったものとして扱われます。
値下がりリスクが気になる資産をNISAに入れ過ぎないことは、制度の使い方として重要な判断材料です。出典:SOICO
外国株の配当金は外国税がかかる
外国株や海外ETFをNISAで保有する場合は、国内の非課税だけで安心しないことが大切です。
NISAであっても、配当金に対して現地の外国税が差し引かれることがあります。
この部分は日本の年末調整で処理するものではなく、状況によっては確定申告を検討する領域です。
とくに米国株の配当を受け取っている人は、受取明細で税引き前と税引き後の金額を確認しておきましょう。出典:SOICO
年末調整で申告が必要な投資関連の控除一覧

NISAは不要でも、投資や資産形成に関連する制度の中には年末調整で申告が必要なものがあります。
ここを見落とすと、本来受けられる控除を逃してしまうため要注意です。
代表的なのはiDeCo、住宅ローン控除、生命保険料控除の3つです。
iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)
iDeCoの掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象です。
会社員でiDeCoの掛金納付方法が個人払込なら、毎年届く掛金払込証明書を年末調整(または確定申告)で提出するのが基本です。事業主払込(給与天引き)の場合は、証明書は発行されず、事業主が源泉徴収・年末調整で処理します。
たとえば毎月2万円を積み立てると、年間掛金は24万円になり、その分だけ課税所得を圧縮できます。
NISAと違って、掛金を払った時点で節税効果が出るのがiDeCoの特徴です。
NISAとiDeCoを両方使っている人ほど、年末調整で必要なのはiDeCoのほうだと切り分けて覚えると実務で迷いません。出典:ジチタイワークス
住宅ローン控除(2年目以降)
住宅ローン控除は、1年目は確定申告、2年目以降は年末調整で手続きするのが一般的です。
2026年度税制改正大綱では、住宅ローン控除の適用期限延長や、年末調整での所要の措置が示されています。
制度の基本は、年末時点のローン残高に応じて所得税から控除を受ける仕組みです。
NISAをしているかどうかとは無関係に、住宅取得後2年目以降ならこちらの書類提出が必要になる可能性があります。
投資と住宅購入を同時に進めている人ほど、NISAではなく住宅ローン控除の提出有無を先に確認しましょう。出典:財務省、FP Cafe
生命保険料控除(変額保険など)
変額保険を含む生命保険料は、条件を満たせば生命保険料控除の対象になります。
これはNISAのような投資口座の話ではなく、保険料を支払っている人が年末調整で申告する控除です。
2026年度の改正資料でも、生命保険料控除制度の見直しが話題になっており、年末調整で関係する代表的な項目の一つといえます。
投資性商品という言葉に引っ張られず、保険は保険、NISAはNISAと分けて考えることが重要です。出典:金融庁
年末調整におけるNISAとiDeCoの違い【比較表】

NISAとiDeCoはどちらも資産形成制度ですが、税制優遇のかかり方も、年末調整の実務も大きく異なります。
違いを一目で確認できるよう、重要ポイントを表で整理します。
項目NISAiDeCo税制優遇運用益が非課税掛金が所得控除、運用益も非課税年末調整原則不要原則必要必要書類なし掛金払込証明書損益通算不可制度の趣旨上なし主な誤解投資だから申告が必要と思われがちNISAと同じ感覚で放置しがち
税制優遇のタイミングが違う(入口vs出口)
両制度の違いを理解するコツは、どのタイミングで税制優遇を受けるかを見ることです。
iDeCoは掛金を払う入口で所得控除を受けられるため、年末調整や確定申告が必要になります。
NISAは運用して利益が出る出口で非課税になる制度なので、年末調整で申告する場面がありません。
この違いを理解すると、NISAは書かない、iDeCoは証明書を出す、という判断が自然にできるようになります。出典:ジチタイワークス
年末調整での手続き有無まとめ
実務だけを短く言えば、NISAは何もしない、iDeCoは証明書を出す、住宅ローン控除や保険料控除は必要書類を出す、です。
NISAのみなら原則手続きなしiDeCoは掛金払込証明書を提出住宅ローン控除は2年目以降に年末調整で対応生命保険料控除は控除証明書を提出
年末調整の書類作成で迷ったら、まず自分が受けたい控除があるかを確認すると、NISAとの混同を防げます。出典:財務省、ジチタイワークス
【判定フロー】あなたが年末調整ですべきことをチェック

自分が何をすべきか迷う人は、次の順番で判定するとスムーズです。
NISAしか使っていないか確認するiDeCoの掛金払込証明書が届いていないか確認する住宅ローン控除や保険料控除の証明書があるか確認する特定口座の設定が源泉徴収なしになっていないか確認する
この4点を見れば、年末調整と確定申告のどちらを意識すべきかがほぼ整理できます。
NISAのみの人→何もしなくてOK
NISAだけを利用していて、ほかに申告が必要な控除や副収入がない人は、年末調整で特別な対応は不要です。
勤務先の年末調整書類にNISAのことを書く欄はなく、証券会社の年間取引報告書を会社へ出す必要もありません。
書類作成では、NISAをいったん頭から外し、保険や住宅ローンの書類だけ確認すれば十分です。出典:SOICO
iDeCoも併用している人→証明書を提出
NISAとiDeCoを併用している人は、年末調整で対応が必要なのはiDeCoのほうです。
毎年送られてくる小規模企業共済等掛金払込証明書を、勤務先へ提出しましょう。
NISAは書かず、iDeCoだけを書くという形になるため、制度を分けて扱う意識が重要です。
もし証明書の提出が間に合わなくても、後から確定申告で控除を受け直せる場合があります。出典:ジチタイワークス
特定口座(源泉徴収なし)の人→確定申告を検討
NISAではなく、課税口座でも運用している人は口座設定の確認が必要です。
特定口座が源泉徴収なし、または一般口座を使っている場合、利益額によっては確定申告を検討します。
これは年末調整では処理できないため、会社員であっても自分で税務対応する場面です。
NISAで申告が不要でも、課税口座まで自動的に不要になるわけではない点に注意してください。出典:SOICO
年末調整とNISAに関するよくある質問

最後に、年末調整シーズンに特に多い疑問を短く整理します。
結論だけ知りたい人は、このFAQを読めば実務の不安をかなり減らせます。
Q. 会社にNISAをやっていることはバレる?
Q. 会社にNISAをやっていることはバレる?
A: 年末調整の書類に書く必要がないため、通常は会社へ申告する場面はありません。勤務先にNISA利用を届け出る一般的な手続きもありません。出典:SOICO
Q. 年末調整の書類を出し忘れたらどうなる?
Q. 年末調整の書類を出し忘れたらどうなる?
A: NISAについてはそもそも提出不要なので問題ありません。iDeCoや保険料控除の証明書を出し忘れた場合は、後から確定申告で控除を受け直す流れを確認しましょう。
Q. 確定申告でNISAの利益を申告する必要はある?
Q. 確定申告でNISAの利益を申告する必要はある?
A: 原則不要です。売却益や非課税で受け取った配当金は申告対象外ですが、配当受取方式や外国税の扱いでは別途確認が必要な場合があります。出典:SOICO
Q. つみたてNISAと新NISAで扱いは違う?
Q. つみたてNISAと新NISAで扱いは違う?
A: 年末調整の扱いは同じです。どちらも利益は非課税で、勤務先へ申告したり、年末調整書類へ記載したりする必要はありません。出典:SOICO
まとめ|NISAは年末調整を気にせず投資を続けてOK

最後に要点を整理します。
NISAは利益が非課税なので年末調整の記載不要新NISAでも2026年時点の扱いは変わらない注意点は配当受取方式、損益通算不可、外国株配当の税金年末調整で本当に重要なのはiDeCoや住宅ローン控除、保険料控除NISAしか使っていない人は過度に気にせず積立を続けてよい
年末調整で悩んだら、まず『それは控除の話か、非課税運用の話か』を切り分けてください。
NISAは書かない制度、iDeCoは書く制度と覚えておくと、毎年の書類作成がぐっと楽になります。出典:SOICO、SOICO


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