「NISAを使っているけど、年末調整に何か書く必要があるの?」と不安に感じていませんか?結論からお伝えすると、NISAは年末調整も確定申告も一切不要です。この記事では、なぜNISAが申告不要なのかをわかりやすく解説するとともに、iDeCoや特定口座との違い、よくある誤解についても丁寧に説明します。年末の手続き時期に焦らないよう、ぜひ最後まで読んでみてください。
【結論】NISAは年末調整も確定申告も手続き不要

毎年10月〜12月になると、勤務先から年末調整の書類が配られ、「NISAについて何か記入しなければならないのか」と悩む方が多くいます。
しかし、NISAは制度として非課税が保証されているため、年末調整にも確定申告にも一切記入・申告する必要はありません。
新NISAはもちろん、旧つみたてNISA・旧一般NISAも含め、すべてのNISA口座での利益は課税対象外です。
「申告しないと脱税になるのでは?」と心配する方もいますが、非課税制度ですので申告義務そのものが発生しません。安心して手続きをスキップしてください。
30秒でわかる回答:新NISAも旧NISAも申告は一切不要
以下の3点を押さえておけば、NISA×年末調整の疑問はすぐに解決します。
- 新NISA(成長投資枠・つみたて投資枠):年末調整も確定申告も不要
- 旧つみたてNISA:年末調整も確定申告も不要
- 旧一般NISA:年末調整も確定申告も不要
NISA口座で得た利益(売却益・配当金・分配金)は、すべて非課税です。
課税されないということは、所得として申告する根拠がなく、年末調整の記入欄に書く必要も、確定申告書に記載する必要もありません。
手続きが「不要」というだけでなく、「そもそも申告の対象外」という点を理解しておくと、より安心できます。
この記事でわかること
この記事を読むと、以下のことが理解できます。
- NISAが年末調整・確定申告不要な理由(制度の仕組み)
- よくある誤解5つとその正しい知識
- iDeCoや特定口座との年末調整の違い
- 例外的に確定申告が必要になるケース
- 年末調整前に確認すべきチェックリスト
NISAの手続きについて曖昧な部分があった方も、この記事を読めば自信を持って年末調整に臨めます。
なぜNISAは年末調整が不要なのか?非課税の仕組みを解説

「不要だとわかったけど、なぜ不要なの?」と疑問に思う方のために、NISAの非課税の仕組みと年末調整の関係をわかりやすく解説します。
年末調整や確定申告が必要になるのは、「課税される所得が発生した場合」です。NISAはそもそも課税対象外なので、申告の必要性が生まれないという構造になっています。
年末調整の対象となる所得・控除をおさらい
年末調整とは、給与所得者(会社員・パートなど)に対して毎月天引きされている所得税の過不足を年末に精算する手続きです。
国税庁の案内によると、年末調整で申告できる主な控除は以下のとおりです。
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 配偶者控除・配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
- 小規模企業共済等掛金控除(iDeCoが該当)
- 住宅借入金等特別控除(2年目以降)
お気づきのとおり、「NISA」はこの一覧に含まれていません。
年末調整はあくまで「課税所得の計算と税額調整」のための手続きであり、非課税であるNISAはそのプロセスに入り込む余地がないのです。
NISAの「非課税」が意味すること|課税されないから申告不要
通常の株式投資(課税口座)では、売却益や配当金に対して約20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金が発生します。
一方、NISA口座では、この約20.315%の税金が完全にゼロになります。
これが「非課税」の意味です。課税されない=税額が発生しない=申告・納税する義務がない、という論理的な流れです。
根拠となる法律は租税特別措置法第37条の14に規定されており、国が法律として非課税を保証しています。
「申告しなくてよい」のではなく、「申告する必要がない(対象外)」という点を理解することで、手続きの不安がなくなります。
新NISA・旧つみたてNISA・旧一般NISAすべて同じ扱い
2024年からスタートした新NISAと、それ以前の旧NISAでは、制度の内容(投資枠・期間など)に違いがありますが、「非課税で年末調整・確定申告が不要」という点は共通しています。
- 新NISA(成長投資枠):年間240万円まで投資可能。売却益・配当金ともに非課税。申告不要。
- 新NISA(つみたて投資枠):年間120万円まで積立投資可能。運用益は非課税。申告不要。
- 旧つみたてNISA:2023年以前に開始した方は2042年まで非課税期間継続。申告不要。
- 旧一般NISA:非課税期間(5年間)終了後は課税口座へ移管される場合があるが、NISA期間中の利益は申告不要。
自分がどのNISAを使っているかによって手続きが変わることはありません。安心して年末調整ではNISAをスルーしてください。
NISAの年末調整でよくある誤解5選

NISAと年末調整については、ネット上でも誤った情報が見受けられます。ここでは特に多い誤解を5つ取り上げ、正しい知識をお伝えします。
誤解①「NISAの利益を申告しないと脱税になる?」
これは誤りです。
脱税とは「本来納税すべき税金を意図的に隠して申告しないこと」を指します。
NISAは法律(租税特別措置法)に基づいて非課税が保証された制度です。そもそも課税されないため、「申告しないこと」は脱税にも節税にもなりません。
税務署もNISA口座の情報は金融機関から把握しており、申告がないことで問題視されることはありません。
「利益が出ているのに申告しないのは怖い」という心理的な不安は理解できますが、制度を正しく理解すれば不要な心配です。
誤解②「年末調整の用紙にNISAを書く欄がある?」
これも誤りです。
年末調整で使用する主な書類は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」「保険料控除申告書」の3種類です。
いずれの書類にも「NISA」と記入する欄は存在しません。
「書かなくてよい」というより「書く欄がそもそもない」という理解が正確です。
もし書類に見慣れない欄があっても、NISAに関するものではありませんので、惑わされないようにしましょう。
誤解③「NISA口座の配当金は申告が必要?」
これも誤りです。ただし、配当金の受取方式に注意が必要です。
NISA口座で保有している株式や投資信託の配当金・分配金も非課税です。
ただし、株式の配当金については「受取方式」によって取り扱いが変わります。
- 株式数比例配分方式:証券口座で受け取る方式。NISA口座内なら非課税になります。
- 配当金領収書方式・登録配当金受領口座方式:郵便局や銀行で受け取る方式。この場合、NISA口座の非課税メリットが受けられず、約20.315%が課税される場合があります。
配当金の非課税メリットをしっかり受けるためには、「株式数比例配分方式」に設定しておくことが重要です。
誤解④「損失が出たら確定申告で損益通算できる?」
これは誤りです。NISAの損失は損益通算できません。
通常の課税口座(特定口座・一般口座)では、ある銘柄で損失が出た場合、別の銘柄の利益と「損益通算」して税負担を減らすことができます。
しかし、NISA口座はそもそも非課税のため、損失が出ても他の課税口座の利益と損益通算することができません。
「利益はゼロ課税、損失は通算できない」という点がNISAのデメリットの一つです。
長期・分散投資を基本とし、NISA口座では損失が生じにくい運用を心がけることが重要です。
誤解⑤「会社にNISAをやっていることがバレる?」
これも誤りです。NISAをしていることが会社に知られることはありません。
年末調整ではNISAを記入しないため、会社側が知ることができる情報にNISAは含まれません。
また、NISAはあくまで「投資の非課税制度」であり、副業所得とは異なります。
副業禁止規定との関係を心配する方もいますが、一般的にNISAによる投資(株・投資信託)は副業とはみなされません。ただし、会社の規程によっては個別に確認が必要な場合もありますので、不安な方は就業規則を確認してください。
確定申告を行う際には住民税の特別徴収により会社に情報が伝わるケースがありますが、NISAは申告不要なのでその心配もありません。
NISAと混同注意!iDeCoや特定口座の年末調整対応

NISAと似た制度として、iDeCo(個人型確定拠出年金)や特定口座があります。これらは年末調整・確定申告の扱いがNISAと異なります。それぞれの違いをしっかり確認しましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は年末調整が必要
iDeCoに加入している場合は、年末調整(または確定申告)が必要です。
iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として全額所得控除の対象になります。
年末調整で控除を受けるには、国民年金基金連合会から毎年10〜11月頃に送付される「小規模企業共済等掛金払込証明書」を会社に提出する必要があります。
この証明書を提出しないと所得控除が受けられず、本来より多くの税金を払うことになってしまいます。
iDeCoを年末調整で申告することで、年間掛金×税率分の節税効果が得られます。例えば、月額2万3,000円(年額27万6,000円)掛け、所得税率20%の方なら所得税だけで年間約5万5,200円、さらに住民税(10%)の軽減分約2万7,600円を合わせると年間合計で約8万2,800円の節税になります。
特定口座(源泉徴収あり)は原則手続き不要
証券会社の特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があります。
「源泉徴収あり」の特定口座では、売却益や配当金に対する約20.315%の税金が自動的に天引きされるため、原則として確定申告は不要です。
年末調整の書類にも記入不要です。ただし、複数の証券会社の口座を持っていて損益通算したい場合や、税率を下げたい場合は確定申告を選択することもできます。
NISA口座との大きな違いは、特定口座(源泉徴収あり)は課税されるが自動徴収のため申告不要、NISAは課税そのものがないという点です。
一般口座・特定口座(源泉徴収なし)は確定申告が必要
一般口座、または特定口座(源泉徴収なし)を利用している場合は、自分で確定申告を行う必要があります。
これらの口座では税金が自動天引きされないため、1年間の利益と損失を自分で計算し、確定申告書を作成・提出しなければなりません。
確定申告の期間は原則として毎年2月16日〜3月15日です(3月15日が土日・祝日の場合は翌営業日が期限)。期限を過ぎると延滞税・加算税が発生する可能性があります。
【比較表】NISA・iDeCo・特定口座の年末調整対応一覧
以下の比較表で、各制度の年末調整・確定申告の対応を一覧で確認できます。
| 制度・口座 | 年末調整 | 確定申告 | 備考 |
|---|---|---|---|
| NISA(新NISA・旧NISA) | 不要 | 不要 | 完全非課税のため申告義務なし |
| iDeCo | 必要 | 必要(自営業者等) | 掛金払込証明書を提出して所得控除 |
| 特定口座(源泉徴収あり) | 不要 | 原則不要 | 税金は自動天引き。損益通算する場合は申告可 |
| 特定口座(源泉徴収なし) | 不要 | 必要 | 自分で確定申告が必要 |
| 一般口座 | 不要 | 必要 | 自分で確定申告が必要 |
この表を見ると、NISAだけが唯一「どちらも不要」であることがわかります。iDeCoと混同しないよう注意しましょう。
NISAでも確定申告が必要になる例外ケース3選

「NISAは申告不要」が基本ですが、NISA以外の状況によって確定申告が必要になるケースもあります。ここでは代表的な3つの例外ケースを解説します。
ただし、これらはNISA自体に起因する申告義務ではなく、他の事情による申告義務であることを理解してください。
給与以外の所得が20万円を超える場合
会社員であっても、副業収入や不動産収入など給与所得以外の所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。
この場合、NISA口座の利益は申告不要ですが、副業所得などは申告が必要です。
「確定申告をするからNISAも一緒に書かなければ」と思う必要はありません。確定申告書にNISAの利益を記入する欄はなく、記入しなくて問題ありません。
医療費控除・ふるさと納税の申告をする場合
医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を利用しない場合)のために確定申告を行う場合でも、NISAの利益を一緒に申告する必要はありません。
確定申告書にNISAの記入欄がそもそもないため、医療費控除等のみを申告し、NISA分は無視して問題ありません。
「確定申告する=すべての収入を申告しなければ」と誤解している方が多いですが、非課税所得は申告の対象外です。
ただし、課税口座(特定口座・一般口座)での取引がある場合は、それらについては正しく申告してください。
外国株の配当で外国税額控除を受けたい場合
米国株など外国株式の配当金には、外国(例:米国なら10%)で課税された後に日本でも課税される「二重課税」が発生する場合があります。
この二重課税を取り戻すための「外国税額控除」を受けるには確定申告が必要です。
ただし、これはNISA口座内の外国株に関して特殊な注意点があります。
NISA口座で外国株の配当を受け取る場合、日本での課税はゼロですが、外国での源泉徴収(例:米国10%)は免除されません。
この外国での源泉徴収分は、NISA口座では外国税額控除を使って取り戻すことができません(非課税口座のため日本での税額がなく、控除する税額がないため)。
外国株投資でこのメリットを活かしたい場合は、課税口座(特定口座・一般口座)を活用することも検討してください。
年末調整前に確認すべき3つのチェックリスト

年末調整の時期になったら、以下の3点を確認しておきましょう。NISAユーザーが陥りやすいミスを防ぐためのチェックリストです。
①NISA口座と課税口座を区別できているか
まず確認すべきは、自分が保有している口座の種類です。
- NISA口座:申告不要(売却益・配当金ともに非課税)
- 特定口座(源泉徴収あり):原則申告不要(税金は自動天引き)
- 特定口座(源泉徴収なし)・一般口座:確定申告が必要
証券会社のマイページや年間取引報告書で口座の種類を確認できます。
「どの口座で売買したか」を把握していないと、課税口座での取引を申告し忘れるリスクがあります。
年間取引報告書は翌年1月頃に証券会社から送付されます。保管しておきましょう。
②iDeCo加入者は掛金払込証明書を準備したか
NISAとiDeCoを併用している方は、iDeCoの「小規模企業共済等掛金払込証明書」の準備が必要です。
証明書は10月〜11月頃に国民年金基金連合会から郵送されます。
この証明書を年末調整の「保険料控除申告書」とともに提出することで、掛金全額が所得控除の対象になります。
紛失した場合は国民年金基金連合会(iDeCo専用ダイヤル)に再発行を依頼してください。
なお、NISAにはこのような証明書はありません。iDeCoの証明書のみを準備すればOKです。
③配当金の受取方式は「株式数比例配分方式」になっているか
NISA口座で株式を保有している場合、配当金の非課税メリットを最大限に受けるには「株式数比例配分方式」に設定する必要があります。
他の受取方式(配当金領収書方式・登録配当金受領口座方式)では、NISA口座であっても配当金に課税されてしまいます。
設定変更は証券会社のマイページから手続きできます。
ただし、株式数比例配分方式に設定すると、すべての証券口座の配当金がその証券会社経由での受取となるため、複数の証券会社を利用している方は注意が必要です。
年末調整の時期に合わせて、証券口座の設定も見直す習慣をつけましょう。
まとめ:NISAの年末調整は「何もしなくてOK」

ここまで読んでいただいた方は、NISAと年末調整の関係についてしっかり理解できたと思います。最後に内容を整理しましょう。
本記事のポイント3点
- NISAは非課税制度のため、年末調整も確定申告も一切不要。新NISA・旧つみたてNISA・旧一般NISA、すべて共通。
- iDeCoはNISAと異なり、年末調整が必要。掛金払込証明書を忘れずに提出すること。
- 例外的に確定申告が必要なケースはあるが、それはNISA自体ではなく他の事情による。NISAの利益を申告書に記入する必要はない。
次にやるべきこと
- 自分の口座種類(NISA・特定口座・一般口座)を確認する
- iDeCoに加入しているなら掛金払込証明書を準備する
- NISA口座の配当金受取方式が「株式数比例配分方式」になっているか確認する
- 課税口座(源泉徴収なし)での取引がある場合は確定申告の準備をする
年末調整はNISA口座について何もしなくて大丈夫です。ただし、iDeCoや課税口座の手続きを忘れないよう、今のうちに確認を済ませておきましょう。
NISAと年末調整に関するよくある質問

Q. 新NISAの成長投資枠とつみたて投資枠で扱いは違う?
A: 違いはありません。新NISAの成長投資枠(年間240万円)もつみたて投資枠(年間120万円)も、どちらで得た利益も完全非課税です。年末調整・確定申告ともに不要で、記入欄もありません。
Q. NISA口座で外国株を持っている場合は?
A: 日本での課税はゼロですが、外国での源泉徴収(例:米国株は10%)は発生します。この外国源泉税はNISA口座では外国税額控除で取り戻せません。売却益については日本での申告は不要です。外国税額控除を活用したい場合は課税口座の利用を検討してください。
Q. 年末調整の書類を出し忘れたらNISAに影響ある?
A: NISAには一切影響しません。年末調整の書類提出はNISAとは無関係です。ただし、生命保険料控除やiDeCoの控除を受けたい場合は、期限内に提出するか翌年確定申告で対応する必要があります。NISAの非課税メリットは書類提出の有無にかかわらず継続されます。
Q. NISAとiDeCoを両方やっている場合の手続きは?
A: NISAは何もしなくてOK、iDeCoは年末調整(会社員の場合)または確定申告(自営業者等の場合)で掛金払込証明書を提出してください。二つの制度を混同しないよう、「NISAは不要、iDeCoは必要」と覚えておくと便利です。iDeCoの証明書は10〜11月に郵送されますので、届いたら保管しておきましょう。


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